どうもリョウスケです
私の秘密をここで一つ打ち明けよう。
ーー実は、
おへそのちょっと下あたりに
細長い毛が一本だけある。
右手小指の関節のちょっと下あたりに
そこにもなぜか、
細長い毛が一本だけある。
彼らは何を思ってそこに佇んでいるのだろう。
毛の気まぐれということだろうか。
やつの存在にうんざりしてくると、
思い切ってぷちっと
抜いてしまうこともあるが、
数週間後には元の状態に再生していて
また私をうんざりさせる。
小指の毛は1.5センチ
おへその毛は3センチ
別に目立つほどではないし
いまのところ
誰かに指摘されたこともない。
気付かれていないのか
気付いても言わないだけか
そもそも他人の毛事情に
誰も関心を持たないからだろうか。
だけど、私にとってはどうでもよくない存在だ。
彼らの存在が私の一日の意識のうち、
8%ぐらいを支配していて。
日常生活に支障が出るほどではないが、
この8%の隙間に
何かもっと有意義な物事を詰め込んだら
私の生活は一変して薔薇色になるかも知れない。
そんなふうに想像したら、
なんとかせねばと、
私の頭を痛いぐらいに悩ますのである。
毛をなんとかしたい。
かといって
生えるたんびに抜くのも邪魔くさい。
毛を一本だけ脱毛しようか。
一本でいいのだから
コンビニでガムを買うくらいの気楽さで
脱毛できたらいいのだが、
そんなわけにはいかないだろうか。
下手すると数万円くらいはかかるかもしれないし。
たかが8%の隙間ごときに
そのお値段はさすがに無理!
とてもじゃないが諦めざるを得ず
そするとこの先も、
ずっと、この毛が私を悩ませるに違いない。
10年後も20年後も、
還暦を迎え後期高齢者と呼ばれても
おへそと小指のチョロ長い毛に
ずっといつまでも
棺桶に入れられるその日が来るまで。
日々の生活に悩み、世界情勢に悩み、年金に悩む間も、
常に心の8%には、
この毛の存在が付き纏うのである。
ああ、ああ、ああ、、、
これが私の抱える8%の秘密だった。