チャリ旅日記

旅のことや日常のことを気ままに綴るよ

放置自転車

 


どうもリョウスケです

 

 

 

放置自転車とは、

単に違法な場所に廃棄された自転車のことだけ

指しているのではない。

私の自宅の倉庫にも放置自転車はある。

何千キロ、

若しくは何万キロと

目的地から目的地へと走り続けた

いつかの相棒は、

現在、

日の光に当たる機会さえ奪われたまま

倉庫の奥深く

取り出すのに3分は要する場所に

ポツネンと放置されている。

 


自転車メンテナンスの方法が記された指南本を

購入したのが一年前、

その後破損箇所を交換する為の必要な部品を購入し

万全の準備が整ったのが半年前、

それからさらに半年、

一度も自転車に触れるどころか

視界の端にさえ映らぬまま時間だけが過ぎ

蓄積された埃で

日に日に汚れていく相棒を

頭の片隅で浮かべては消し、浮かべては消し、

まるでぷよぷよみたいに

消し続けた挙句

さすがにそろそろ可哀想に思えてきた。

 


苦楽を共にし

時にボロボロになりながらも

彼のおかげで初めて日本の果てまで辿り着くことに

成功したのだ。

思い入れは特段に強い。

彼は来年、

やり残した旅を共に再開すると決めている。

このまま朽ち果てていいはずがない。

 


新しい自転車を欲する気持ちもゼロではない

だが彼と共に始めた旅である。

彼と共に

旅をやり遂げるのが道理ではないだろうか

 


どうしてさっさと直さないのだ!

と問われれば、

旅以外で自転車に乗る機会がないからだ!

と答えるしかない。

自転車に乗るのが好きなわけではない

自転車で旅するのが好きなのだ

目的が遥か遠くにある今、

早急に直そうと行動に移せない。

平たく言えば

ただの怠惰で面倒グサがりなことにより、

夏休みの宿題は最終日に慌てて泣きながらやるような

日本の夏の風物詩を

大人になっても地でいってるわけである。

愛着が欠落したのではないのだ

いずれはやろうと、

やらずにここまで過ごしただけなのだ。

 


頭の片隅ではまた、

埃に塗れた放置自転車の姿が脳裏に浮かぶ。

取り出すのに3分は要する場所

やれやれ、、、と再度

ぷよぷよみたいに消し去ろうとして

初めてそこで思いとどまる。

カレンダーにふと目を向けると

暦は霜月に差し掛かろうとしている

これ以上寒くなれば

また怠惰な自分がぷよぷよを始めるだろう。

そろそろやるか、

思い腰を上げて倉庫へと向かう。