どうもリョウスケです
タイトル「怪盗紳士ルパン」
変幻自在、神出鬼没、快刀乱麻の大泥棒
ーー怪盗紳士アルセーヌ・ルパン!
その名を知らぬ者は少ないが、
日本では漫画のキャラクターのイメージが強く
原作のルパンを超える人気がある。
だが本来は、
ルパンは海外小説の主人公であり
本編にとっつぁんも、五右衛門も、次元も、不二子も登場しない
一話完結型の短編集である。
この小説の見所は、話によって文脈や流れが大きく違うところにある。
それはつまり、主人公であるはずのルパンが必ずしも物語の中心にいるとは限らない。
ある時はルパンを追う刑事の目線で物語が進行し、
ある時は傍観者の一人であり、またある時は主人公ルパンそのものである。
さまざまな角度からルパンが華麗に盗みを働く姿が軽快に描かれ、読者を常に驚かせる工夫が至る所に散りばめられている。
神出鬼没とはまさにその通りで、
ある一人の登場人物の目線で描かれていたはずの物語が、読み進めるうちに
その登場人物こそがルパンだった!?
と予想外な展開に、物語の登場人物たちと共に驚かされたこともしばしば。
こんな不思議な小説は読んだことがない。
ルパンがどうやってお宝を盗むか以前に、
誰がルパンか、その謎から読者を翻弄する物語。
驚愕に次ぐ驚愕の連続。そして騙された後は、
どこかスッキリとした気持ちで華麗なルパンの所業に拍手を送りたくなる。
漫画のルパンはどこかマヌケでおっちょこちょいで
それが魅力の一つだが、
小説のルパンは、常に知的で紳士で謎めいた存在でズバ抜けてかっこいい
ーー完璧な存在である。
それでも私は、
漫画に登場する変態だけど愛嬌があり
凄腕なのに
ドジですぐ捕まるルパンの方が好きだ。
小説のルパンも魅力的だが、
「不二子ちゃーん」と
女の尻を追いかけるルパンが、
我々日本人には馴染み深いルパンそのものだと感じた。