どうもリョウスケです
旅182日目
天気 晴天 夕方に少し雨
二日目の今日は
目的の黒部ダムまで歩こうと思う。
もはや乗り物を使おうなどという考えは
頭に微塵もなかった。
朝陽が綺麗で晴れ渡るいい天気で
室堂にある「みくりが池」はなんとも神秘的で美しく
近くに聳える山々の
風景は昨日見たよりもずっと美しく見える。
室堂から黒部ダムまでは
一度小高い山を上がると、そこからはひたすら降ることになる。
下りは苦手だが、
一晩寝た体はすこぶる調子が良く
どこまでも歩いて行ける気がした。
無料の湧き水をペットボトルに入れ
準備万端!!
いざ、と勢いよく歩き出す。
一の越と呼ばれる小高い山までは一度も休むことなくたどり着いた。
やっぱり今日は調子がいい。
この分だと楽勝ではないかと思えたところで
ふと見上げると、
そこには雄山という山が聳えている。
高さ3003m
黒部峡谷では一番の標高を誇る霊山である。
山登りをするつもりはなかった、、
このまま横を素通りし
黒部ダムへと一直線に向かうつもりでいた、、
だども、
なんだろうか。
今日はとても調子が良く
天気も良いし
3003mとは言っても一の越は標高2700m
下から見上げれば
山頂が見える所まで私は来ている。。
山登りをするつもりはなかった、、
本当にたまたま
私の中の小さな好奇心が少し疼いた。
977mから歩き始めて
3003mの山を登りきったら
これってなかなかすごいことじゃないのだろうか。。
気がつくと私は山を登り始めていた。
結構傾斜の急な雄山は、
少し登っただけでも下を見ると足が震えそうなほど
高いと感じる。
足を置く位置を気にしながら
手でしっかりとしがみ付いて一歩一歩と
登っていく。
私は以外とこういうのが得意かもしれないと思った。
ゴツゴツした岩を登るのは楽しく
次はどこに足を置くかと無我夢中で登っていくと
気がつくとずっと前に登り始めた人に追いついてしまう。
普段から抜かされることに慣れてる私
自転車でもマラソンでも
ハイキングでも、
いつもお年寄りや女性に颯爽と抜かされることが多いのに、
これだけは私の方が早いらしい。
たまたまかもしれないが、、
うん、こういうのも悪くないなと思った。
1時間半ほど登っただろうか
なんとか山頂へと到着した。
山頂は霊山とあって神社になっていて、
参拝料を払うと山頂でお祓いをしてくれる。
逆にここまで来て参拝料を払わないと山頂には行けないのは
少し悔しくもあるが、
これはこれで貴重な体験である。
山を降りて一の越に戻ってきた。
黒部ダムへと続くながい旅の再開である。
ここからはひたすらに降り
現在2700m地点から
下っていく。
雄山を登って疲労困憊かと思いきや
わりとまだまだ元気で
やっぱり今日は調子が違うようだ。
東の越までの道は
急な傾斜のある斜面をまっすぐ突っ切らねばならず
少し怖い、、
途中雷鳥に出会った!
雷鳥は富山の県鳥とされていて
全国に3000羽、立山では300羽が観測されており
どの程度の目撃頻度かは定かでないが
300分の2の雷鳥を
目の前にしてかなり興奮した。
こういう事が起こると不毛な道のりも
意味を成してくる。
それからはひたすら歩いて、歩いて、、歩いて、、、
東の越に到着!
ようやくダムが遠くに見える
ここまで長かった。。
本当に存在するのかもわからないダムまでの道のり、、
だがまだ感傷に浸るのは早い。
まだ見えた、、というだけに過ぎず
そこから先は森の中をひたすら歩いて、歩いて、、歩いて、、、
歩き疲れてさすがに調子がどうのとか言ってられなくなったところで、
やっとの思いで黒部ダムにたどり着いた。。
大自然のど真ん中にある巨大なダム
制作期間7年を費やし
事故や犠牲者を出しながら完成した日本が誇るダムである。
黒部峡谷の景観や自然をなるべく壊さないように作られたダムは
見える部分以外は地下にあるらしく
放水も夏の限られた期間しか行わないなどの工夫がなされている。
とにかくバカでかい!!
ダムを通過することはよくあったが
間近で見るのは初めてで
放水の水の迫力には圧倒させられる。
それにしても長かった。。
誰よりもここに来るまでに時間をかけたに違いない
きっとここにいる人は
誰一人私が何十キロも離れたところから
歩いてやってきたとは思うまい。
優越感に浸りながら
でも誰かには褒めて欲しいのに
それが叶わないジレンマを抱きつつ(言いふらすわけにもいかないし)
ダムを後にした。
帰りはさすがに歩いて帰る体力はない。
全ての乗り物も一度は乗ってみたいとも思っていたので
文明の力に甘えよう。
ケーブルカー→ロープウェイ→トロリーバス→バス→ケーブルカーを乗り継いで
きた道を引き返す。
こうして長い黒部ダムへの旅は終了した。
ちなみに、
帰りに費やした時間はおよそ2時間15分
かかった運賃7300円、、
二日かけ足に豆を作りながら歩いた道のりは
あっという間に過ぎ去り
一番の目的だった節約はというと、
それぞれの乗り物には片道料金と往復料金とがあり
単純に往復で倍の金額にはならないわけで。
帰りの片道で7300円
往復料金だと1万700円ほどなので
差額は3400円ぐらい
つまり、、
まあそういうことである。
まさに、無謀で不毛で阿呆だったと誇りに思う挑戦だった
つづく
リョウスケ
《ギャラリー集》
地獄谷への道は現在有毒なガスが強いために封鎖されている。
日本最古の山小屋だとかなんだとか
夏に雪の上を歩く。
もっと硬いのかと思ったら意外と普通の雪の感触で、日光も当たっているのに
なんで溶けないのか不思議
山頂からの絶景!!
天気が良い!
高山植物群
たぶん親子の雷鳥さん
「クック」という鳴き声が印象的
何かがあったのだろうか、、
こういう人的廃墟感にゾクゾクする
人的廃墟感ってなんだ!?
黒部湖
晴れてると虹ができる
建設作業中に亡くなった人たちの慰霊碑
大きな事を成し遂げるには犠牲はつきものなのだろうか?
高い、、
何度も乗り換えてようやく出発地点に到着
おつかれさまです。