どうもリョウスケです
旅139日目
2022年10月31日月曜日
天気 はれ
高知[高知市→桂浜]
拝啓 坂本龍馬殿
あなたが生前手紙をマメにしたためていたという事実を知り、わたしも手紙などを久しく書いてみたくなりました。
坂本龍馬記念館にてあなたの手紙を拝読しました。宛先は家族や知人。乙女お姉さまから現代人の我々のよく知る偉人まで。
その内容も多種多様で、日本の夜明けに邁進する重要な手紙から、ちょっとクスッとしてしまう乙女姉さんへのくだけた手紙と、本当にあらゆる形の手紙を書かれていたようですね。
実はわたしも学生時代、手紙をよく書いていたのを思い出します。
あなたの時代には手紙以外の連絡手段がなかったことと存じますが、わたしの時代にはすでに携帯電話なるものが存在しました。
遠く離れた相手にも親指一つで連絡が取れる優れもの。それでも手紙にこだわったのは、その方が相手に気持ちがより伝わると感じていたからです。
いま思えば悶絶必須の黒歴史に匹敵する手紙も多数あり、できることならすべて燃やして過去ごと消し去ってしまいたい物ばかり。
物として残るからこそそれが手紙の良さでもあると言えるのかもしれませんが、残るからこそ送る側にはリスクが常につきまとうのも、手紙の本質だと感じております。
あなたはどうでしょうか? 龍馬人気に後押しされて、平日でも客の絶えない博物館には、今日もまた、手紙が観衆のもとに晒されています。
わたしなら博物館ごと盛大に火を放ち、これが日本の夜明けぜよ! と派手に誤魔化してしまうところですが、あなたなら逆にそれを楽しむだけの器のデカさがありそうですね。
手紙といえば過去のものになりつつある昨今。あなたがもし現代に生まれていたら、それでも手紙を書くことにこだわりましたか?
それともメールやSNSなど何かしらの方法を介して世界と繋がりを持とうとしていたでしょうか?
最先端のものが気になるあなたなら、その方があなたらしいかもしれません。
同時に古き良き手紙の文化にこだわろうとする意固地なところもなんだか想像できます。
それにしても世界はあなたのいた時代から大きく姿を変えました。
果たしていま、日本は龍馬殿が夢見ていた世の中に近いでしょうか? わたしはそれがとても気がかりです。
あなたが近江屋で亡くなってから多くのことがありました。
戊辰戦争が勃発。明治維新の誕生。西郷ドンが日本最後の内乱で亡くなり、近代化が加速。日清日露と海外に勝利した日本は、やがて太平洋戦争で強国アメリカに戦いを挑み、多くの犠牲者を出して敗北。
その後は日本の軍国主義が滅亡して民主化が進み、誰も武器なんか持たずに暮らせる世の中になりました。
これを平和というなら、いま日本は平和です。
あなたのいた血生臭い時代は歴史の教科書に封印されて、フィクションの世界の話になりました。
世間を賑わすニュースはもっぱら芸能人の熱愛と不倫報道、政治家の収賄疑惑が主なトピック。
盛んに若者たちが日本を変えようと叫び続けたのは昔の話。いまは誰かが敷いたレールの上を疑問も抱かず歩くことに躊躇いもありません。
日本は平和です。でも、それでいいのだとわたしは思います。
我々は武力を持たずに戦うしかありません。でもそれは、人間本来の生き方なのだと思います。
知恵を絞って戦うから人間なのです。武力で戦う人間は、人間ではなくただの野蛮な獣なのです。
あなたが望んだ大政奉還は、まさに人間が知恵を絞った戦いでした。
結果的にあなたの死後、戊辰戦争へと歯車は狂ったかもしれませんが、血を流さず幕府が朝廷に政権を返上した事実は最大の功績だったと、わたしは思いました。
世界はこの先どうなっていくでしょうか? 先を読めるあなたなら、未来も少しは見えるでしょうか?
わたしには何も見えません。世界のことも、日本の未来も、自分の明日の寝食のことでさえ、、、何一つ見えません。
ちゃんとするぜよ! とあなたは怒るでしょうか?
怒られるのは嫌いですが、あなたになら一度怒られてみたいかも。なんて、嘘です。やっぱり誰にも怒られたくありません。
昔から怒られることは嫌いでした。嫌いだったからこそ、三男坊であることを活かし、兄を反面教師に怒られることを避けて生きてきました。
争うことも嫌いです。争いは何も生み出さず、ただ消費するばかり。貧乏性のわたしには争い事態が不毛な行為に近いのです。
争いは疲れる。何かを失う。誰かに嫌われる。
だから争いなんてしたくない。
平和主義者? なんてことはない。わたしはただの自己中心的な怠け者です。
でも、それでいい。それでいいと世界が望めば、戦争はなくなり平和になるのでしょうか。
未来が見えるあなたならその答えも既に知っているかもしれませんね。
さて、そろそろここで筆を置きたいと思います。少し長文になりました。
そういえば、あなたが乙女姉さんに送った最長の手紙は五メートルを超えていましたね。流石にあれにはかなり引きました。
それを読む乙女姉さんの憂鬱な表情がリアルに想像できます。
かくいうわたしも、学生時代に友人に便箋二十枚ぐらいの手紙を送ったことがあります。
なんだかあなたとは気が合いそうだと引きながらも親近感が湧きました。
また手紙を書きます。では。ーーーりょうすけ
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桂浜。晴れてたお陰でかなり美しい景色。
有名な龍馬像。思ってた三倍くらい大きい。見上げないと見ることができない
横に期間限定で櫓が設置されていて、百円で登ることができる。最初はもったいないと感じたけど、好奇心に負け、百円払って登った。
中は剥き出しの鉄骨。少し怖い
目の前に龍馬!!
ち、ちかい、、、。願わくば正面から見たかったけど、これはこれで貴重な体験。
マスク龍馬。坂本龍馬記念館の入り口。
こんなご時世だからわかるけど、こんなご時世でも、できたらちゃんとした姿で見たかった。
あの有名な写真の複製
手紙がこうしてたくさん展示されていて、すべてに現代語訳がされているからおもしろい。
乙女さんに宛てた五メートルの手紙。
デフォルメされた龍馬。かわいい
坂本龍馬と中岡慎太郎が暗殺された近江屋の一室を再現された部屋。障子や掛軸に血の痕がある。
帰ろうと思ったらマスクなかった。ナイス館長!