チャリ旅日記

旅のことや日常のことを気ままに綴るよ

縄文杉トレッキング

 


どうもリョウスケです

 


旅53日目

2022年7月20日水曜日

天気 曇り雨

鹿児島[屋久島]

 


朝から準備は万端のつもりだった

朝食と昼食を前日には購入し

飲料水も確保

必要なものを事前に揃えて

登山口に向かうバス停の近くで前日は就寝。

 


朝も5時に目覚め

少しでも早く行こうとバス停までの

長い坂道を必死で駆け上がり

三十分後ようやくたどり着いたと言うのに、

辺りはなぜか閑散としていた。

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あれ、バスは?

 


不思議に思いながらバス停まで行ってみる

すると、係のスタッフのおじさんが

「もうバスいっちゃったよ」

と言い出した。

「最終は5時40分だよ」

と言うので、

時計を確認するとーー5時45分

どうやら5分前に最後の便が行ってしまったということらしい。

 


嘘・・・、

そんなに早いなんて。

 


登山口に向かうにはバスの他にはタクシーで

行くしか方法がない。

そこでタクシー会社に電話するも

朝の6時からやっているタクシー会社などないため

電話も繋がらない。

 


このままではまた不毛な一日を過ごす羽目になる。

どうしようと一人で嘆いていると、

横のバス通りを一台のタクシーが通って

行くのに気づき

迷う間も無く止めに行った。

おかげでことなきを得ることができたが、

払う必要のなかった5千円が消えていき

高い授業料に

それでもガイドを依頼するよりは安く着いたと

自分で納得するしかなかった。

 

 

 

縄文杉まではガイドツアーを依頼するのが

屋久島での最もポピュラーな流れである。

 


わたしも最初はそうしようかと考えた。

ところが値段を確認すると、

うん千円どころか

うん万円のところが普通で

考えてみれば往復10時間はかかるのだから

それぐらい当前だったが

貧乏旅のわたしにはとても手が出せない。

 

行って戻るだけなら一人でも大丈夫だという名もなき人のアドバイスを信じ

今回はガイドを頼まずに一人で行くことに。

 

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誰よりも遅れて登山口に到着すると

既に人が誰もおらず

ツアー団体の後ろをしれっと着いて歩こうかと

考えていたものだから

まさかの状況に不安に押しつぶされた。

 


それでも登山口を出発すると、

確かに名もなき人の言う通り道は一本道で

昔利用されていたトロッコ

レールの上をひたすら歩き続けることに。

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珍しいその道はなんだか楽しく

徐々に森の深みに入っていくと

景色もどんどん美しくなっていく。

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途中でトロッコレールが終わると

そのあたりで他の登山者の姿と遭遇し

少しホッとした。

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これでもう一人という状況は無くなった。

しかも、あまり休憩も取らず

黙々と進むことだけに専念しているわたしは、

あっという間にツアー客を

ごぼう抜きしていき

なんだか妙な優越感にも浸っていた。

 


全体の半分ぐらいのトロッコ道を抜けると

今度は登山らしい山道である。

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緩やかな坂や岩場を越えていくと

どんどんそこは

もののけ姫の世界の景色と重なっていく。

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鬱蒼と生い茂る森の中に

苔むした岩や木がたくさん並び

樹齢数百年から数千年はするであろう

巨大な大木が、

何本も何本も森の中に凛然とたたずんでいる。

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とにかく美しい景色だった。

雨が降っていたものの

その雨の滴が苔を濡らして

より神秘的な風景を創り出していた。

 


自然の芸術

そして、遂に彼がそこにいた。

 

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縄文杉
樹齢は2千年から7千年とも言われ

太古の昔からそこに存在。

人が何十人も手を伸ばさないと囲めない

太さのあるその大木は、

他の木と比べると明らかに異質であり

仙人のような風格を漂わせている。

 


ーーすごいと思った。

ーーさすがだと思った。


ところが、わたしが抱いた想いはそこまでがどうやら限界だった。

 

 

隣でガイドさんがうんちくを並べながら「僕はシシガミは縄文杉だと思うんですよね」

という興味深い話をしているのが聞こえ

ガイドさんがいればこんなふうに話を聴くことができるのかと、

ちょっと羨ましくなった。

 


帰りは退屈な下山である。

黙々と進むわたしは次々とツアー客を抜かしていく

それでも楽しそうに話を聞く彼らの方が

わたしより何倍も満足感があるに違いない。

 


ガイドを頼むよりは安くついたと思ったタクシー代は、ガイドを頼んでいれば絶対に払うことにはならなかったはずで。

どちらがいいかと言われたら、いまのわたしには既に答えは完全に決まっているのだった。

 

 

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こういう橋になったところをよく通る。足元は大抵濡れていて、けっこう怖い。


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昔学校があった場所。一時期この辺で林業を行なっていたことがあり、その時に存在した集落の名残りがまだある。


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樹齢千年近い木がたくさんある。数百年でも凄いはずなのに、ここに来ると感覚がおかしくなってしまう。


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ウィルソン株


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中から覗くとハート形に穴が空いてるみたいに写真が撮れる。


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ガイドがいると雨の中でも休憩ができる。


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縄文杉は最低でも二千年の樹齢があることが分かっているが、中は腐って空洞になっているため、それ以上細かいことはわからないそう。それでも途方もない年月である。


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写真をお願いするのに苦戦した。ガイドツアーの参加者にはなんとなく頼みにくい。有料のガイドさんにはもっと頼みにくい。個人で来ていて、頼んでも心良く引き受けてくれそうな人を探すのに、30分は縄文杉の周りでウロウロしていた。


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帰りにもっかい撮ったらもっと上手く撮れた。決められた角度からじゃないとハートには見えない。これを見つけた人は天才だと思う。


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帰りのトロッコ道がとにかく大変だった。景色はあまり変わらないし、行きの新鮮な感じもなくなっていて、本当に苦しい。こういう時におしゃべりなガイドがいると気が紛れそうである。


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午後4時に登山口に到着。全部で約9時間。時間的にはとても長いが、感覚的にはあっという間だったので、そんなに難易度の高いところではないのだと思う。